地域資源情報
13 味 噌
その他の参考情報
特徴の補足説明
【信越県境地域の味噌醸造所】
上越地方
魚沼地方
北信地方
長野地方
a1 味噌の品質
全国味噌鑑評会は、日本一の味噌(最高ランクは農林水産大臣賞)を決定する鑑評会であり、一般社団法人中央味噌研究所が毎年実施している。
【全国味噌鑑評会における入賞蔵数】
① 都道府県別ランキング(過去10年間)
② 過去10年間の受賞者数
出所)一般社団法人中央味噌研究所ホームページをもとに作成
特徴の成り立ちと影響の補足説明
b1 製糸業などの存在
明治時代後半から大正時代にかけて、長野県下では幹線道路や鉄道の整備が一気に進んだ。これに伴い、製糸工場や繊維工場が発展、松本に陸軍の連隊が置かれ、西条に炭鉱が開かれるなどで、県内のみそ需要は飛躍的に伸びたとされる。
その後、第一次世界大戦後の不況により製糸業は衰退するが、岡谷では製糸工場の建物を活用し、工員向けのみそづくりの経験をもとに、みそ醸造業に乗り出す企業家もあらわれた。
b2 原料としての米や大豆の栽培
– 新潟県 –
地主出身の創業者が多いことから、年貢米の有効利用のためだったとの見方もある。また、上越地方の麹割合が高いことは、米どころとの関係も推測できる。
– 長野県 –
善光寺平では、かつて西山大豆が良質とされ、木島平の米糀と合わせて仕込んだ味噌が最良といわれていたとの記述もある。
b3 東西の結節点・大消費地からの近さ
– 城下町 –
上越市高田では、徳川家康の六男・松平忠輝が高田城を開城して以来、参勤交代の要所となり東西文化の接点の地として、食文化においても加賀(関西)の影響を受けたとの見方がある。
– 関東大震災の影響 –
長野県では、明治時代後半から大正時代にかけて、特に製糸工場や繊維工場が発展し、そこで働く労働者が急速に増加する。また松本に陸軍の連隊が置かれ、西条に炭鉱が開かれるなどで、県内のみそ需要は飛躍的に伸長した。
さらに1923(大正12)年の関東大震災で救援物資として信州みそを送り込んだことを機に、評判が高まり移出量も増加した。
b4 品質管理の徹底
信州みその県外移出が増えると、信州みその名前で長野県以外の生産品が売り出されるなどして品質が落ちてしまう。その対策として、信州みその品質を保つために、団体商標「信州味噌」を登録した。
参考文献・サイト
※特に参考とした文献には●を付しました。
(味噌関係 - 全国)
・中央味噌研究所 監修(1999):みそを知る、みそ健康づくり委員会
●全国味噌工業協同組合連合会・中央味噌研究所(2001):みそ文化誌、みそ健康づくり委員会
●小泉武夫(1989):発酵、中央公論社
●小泉武夫(2016):醤油・味噌・酢はすごい、中公新書
●農山漁村文化協会(2006):日本の食文化⑤甲信越
・渡邊敦光(2018):味噌大全、東京出版
・KIRIN食生活文化研究所
https://www.kirin.co.jp/csv/food-life/know/activity/ferment/miso/column_01.html
(味噌関係 - 新潟県)
・創業100周年事業記念誌編集室、新潟日報事業社(2001):マルゴ百年物語、マルゴ味噌株式会 社
・新潟日報事業社(2001):特集 新潟の味噌大全、CARREL第18巻4号
●本間伸夫(2010):食は新潟にあり、新潟日報事業社
(味噌関係 - 長野県)
●「信州味噌の歴史」編集委員会(1966):信州味噌の歴史、長野県味噌工業協同組合連合会
・青木佐太郎(1999):私のアルバム、マルコメ(株)
・北原広子・中沢定幸(2015):ぶらり 信州味噌 蔵めぐり、信濃毎日新聞社
・株式会社マルダイ(1999):マルダイ味噌百壱年史、三盛館
【食全般に関する参考文献など】――――――――――――――――――――――――――――
(全国 - 地誌・民俗)
・日本地誌研究所 青野壽郎・尾留川正平編(1972):日本地誌9中部地方総論・新潟県、二宮書店
・日本地誌研究所 青野壽郎・尾留川正平編(1972):日本地誌11長野県・山梨県・静岡県、二宮書店
・山本正三ほか(2006):日本の地誌2 日本総論、朝倉書店
・斎藤功ほか(2009):日本の地誌6 首都圏Ⅱ、朝倉書店
・磯貝勇(1973):日本の民俗23 新潟、第一法規出版
・堀田吉雄(1972):日本の民俗24 長野、第一法規出版
・地方史研究協議会(1961):日本産業史大系1 総論篇
・地方史研究協議会(1960):日本産業史大系5 中部地方篇
・市川健夫(2010):日本農業と食文化、第一企画
・市川健夫(2010):ブナ帯文化と風土、第一企画
(全国 - 食文化)
・宮本常一(1977):宮本常一著作集第24巻 食生活雑考、未来社
・芳賀登, 石川寛子監修(1998):食文化の領域と展開、全集 日本の食文化第一巻、雄山閣出版
・芳賀登, 石川寛子監修(1998):郷土と行事の食、全集 日本の食文化第十二巻、雄山閣出版
・石川寛子(1999):地域と食文化、放送大学教育振興会
・江原絢子・石川尚子・東四柳祥子(2009):日本食物史、吉川弘文館
・成瀬宇平(2012):47都道府県 伝統食百科、丸善出版
・成瀬宇平(2013):47都道府県 伝統調味料百科、丸善出版
・成瀬宇平(2015):47都道府県 汁物百科、丸善出版
・農山漁村文化協会(1993):日本の食生活全集49 日本の食事事典Ⅰ 素材編
・農林水産省(2007):農山漁村の郷土料理百選
・吉川誠次ほか(1995):食文化論、建帛社
・江後迪子(2004):南蛮から来た食文化、弦書房
・武光真(2009):食の進化から日本の歴史を読む方法、河出書房新社
・岸朝子監修(2011):日本各地の味を楽しむ 食の地図、帝国書院
・石毛直道(2015):日本の食文化史 -旧石器時代から現代まで、岩波書店
・尾形希莉子・長谷川直子(2018):地理女子が教える ご当地グルメの地理学、ベレ出版
(新潟県)
・山口賢俊(1972):日本の民俗 新潟、第一法規出版
・桜井 薫(1972):ふるさとの味 新潟料理、第一法規出版
・新潟県地誌研究会、本間信夫(1976):新潟県の雪-その科学と生活-、野島出版
・新潟県農業改良協会(1981):にいがたの味 行事食・郷土食編、第一印刷所
・朝日新聞社編(1985):郷土料理とおいしい旅10 新潟・富山・石川・福井、凸印刷
・田中一郎(1999):みごとな味 美味百景、新潟日報事業社
・佐藤国雄(2000):食は越後にあり 新潟のおいしい風景、恒文社
・小林瑠美子(2001):ふるさと季節の味、新潟日報事業社
・新潟日報OBペンクラブ(2001):新・にいがた味100選、新潟日報事業社
・板垣俊一(2006):新潟県の地域と文化 -地域を学ぶために-、雑草出版(あかつき印刷出版部)
・向笠千恵子(2010):まるごとわかる ふるさとおもしろ食べ物百科 第2巻南関東・甲信越・北陸、日本図書センター
・本間伸夫(2010):増補改訂版 食は新潟にあり -新潟の風土・食・食文化、新潟日報事業者
・新潟県食品研究所(1992):新潟県食品研究所50年の歩み
・新潟県農業総合研究所食品研究センター(2002):食品研究センター創立60周年記念誌―最近10年の歩み-
・新潟県農業総合研究所食品研究センター(2012):食品研究センター創立70周年記念誌―創立80周年に向けて-
・新潟市教育委員会(2002):新潟の食文化 -過去から現在そして未来へ-、第8期にいがた市民大学ゼミナール修了レポート集
(上越地方)
・越後田舎体験推進協議会(2010):雪国の食文化 食ものがたり
・新潟県安塚町スローフード講座+谷川俊太郎ほか(2004):風土が料理人、梨の木舎
(魚沼地方)
・渡辺行一(1971):越後南魚沼民族誌、慶友社
・十日町商工会議所(2011)、十日町雪ものがたり120-雪とともに生きる-
・十日町市(2017):ふるさと教材 ふるさと十日町
・つなGOプロジェクト(2016):雪国つなんだより おいしいお米と津南のくらし
・笛木孝雄、雪国文化研究ワーキンググループ(2016):雪国の風土とフード、雪国観光圏
・スノーカントリーフリークプラス
・八海醸造株式会社(2015-12):特集 魚沼の冬を味わう、魚沼へvol.49
(長野県)
・市川健夫・倉島日露子監修、長野県商工会連合会婦人部編(1985):信州の郷土食~“ふるさとの味”と食文化、銀河書房
・市川健夫(2012):信州学テキスト、第一企画
・「日本食生活全集 長野」編集委員会(1986):聞き書 長野の食事、農山漁村文化協会
・今村龍夫(1986):信濃の食文化 ナウマン象狩りから長寿県まで、共立プラニング
・今村龍夫(1992):イロリ端の食文化 信州の伝統の味・その源流を訪ねて、郷土出版社
・信州大学農学部 食を考えるグループ編(1992):長寿県・信州の食を考える、郷土出版社、
・第一企画編(2015):日本の健康を支える信州の食企業、ダイヤモンド社、
・小泉武夫・横山タカ子(2016):信州の発酵食、しなのき書房
・長野県立歴史館(2001):信濃の風土と歴史⑦ 食 -とる・つくる・たべる-
・長野県立歴史館(2018):日常生活からひもとく信州、信濃毎日新聞社
・もっと味せます長野アソビマワルナガノ 公式観光ポータルサイト
http://www.motto-nagano.net/modules/contents/content0026.html(そば)
http://www.motto-nagano.net/modules/contents/content0025.html(おやき)
http://www.motto-nagano.net/modules/contents/content0027.html(郷土料理)
・長野県魅力発見ブログ
https://blog.nagano-ken.jp/nihonichi/page/8
・長野県ホームページ(意外と頑張ってます長野県)
https://www.pref.nagano.lg.jp/kikaku/kensei/gaiyo/chiji/igaito.html
・中日新聞 > 長寿しなの 彩食記
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/saisyokuki/list/
・長野県農業関係試験場 https://www.agries-nagano.jp/
・東京工業大学 ぐるなび食の価値創成共同研究講座「長野県の食文化」
http://comp.bio.titech.ac.jp/gnavi/food_culture_survey/results/nagano/
(長野地方)
・田中磐(1980):しなの食物誌,信濃毎日新聞社
・高野悦子(1982):信州の郷土料理、信濃毎日新聞社
・八十二文化財団(1997):長野県の郷土と文化
・中田敬三(2002):なんでも食べるゾ信州人 長寿県の知られざる食文化考、郷土出版社
・武田徹監修 長野県商工会女性部連合会編集(2005):信州 ふるさとの食材、ほおずき書籍
・信州スローフード協会(2008):信州旬食 食のツボ、信越放送
・長野県農村文化協会(2013):信州ながの 食の風土記-未来に伝えた昭和の食―、農山漁村文化協会
(北信地方)
・八十二文化財団(1990):信州の雪国 雪国人の心を探る
・笹本正治(2003):飯山風土記、飯山市振興公社
・飯山市「食の風土記」編纂委員会(2005):信州いいやま食の風土記、飯山市
・飯山市社会福祉協議会(2010):信州いいやま暮らし、農文協
・まちなみカントリープレス(2015):別冊KURA信州中野 故郷の大地が育む農の恵み
・信越9市町村広域観光連携会議:信越自然郷(パンフレット)
更新履歴
- 2022年6月7日 「その他の参考情報」を追加しました。
- 2022年4月21日 ページを公開しました。