地域資源情報

01 地 形

その他の参考情報

特徴の補足説明

■ 著名な山々(日本百名山)

日本百名山協会ホームページには、故深田久弥氏の名著「日本百名山」が定めた百座の山々を掲載している。
都道府県別の数をみると、長野県が断トツの29座であり、新潟県も4番目に多いなど、本州の中央部に半数以上が集中している。【下表】
このうち信越県境付近に位置する百名山には、白馬岳(正確には富山・長野県境)、雨飾山、火打山、妙高山、高妻山、苗場山の6座がある。
また、この地域内にある3つの国立公園(妙高戸隠連山、上信越高原、中部山岳)全域に対象範囲を広げると、20座以上にもなる。

【日本百名山の数ランキング】

備考)複数都県に跨る山は、それぞれの都県の山として重複計上した。
出所)日本百名山協会ホームページをもとに作成

a1‐1 古い地形と新しい地形

糸魚川市では、世界最古のヒスイをはじめ多種の岩石をみることができる。これらの多様な地形や情報発信体制などが評価され、「糸魚川ジオパーク」が2009年に日本で初めてユネスコの世界ジオパークに認定された。

a1-2 新しい地形(高い山々)

数億年にわたる地質の長い形成時間を考慮するならば、100万年前に生まれた山は“若い”といえる。
成瀬(1977)が示した日本地図を目視した限りでは、100万年前に海や平野であったと思われる地域は、現在も大部分が海や平野である。1,000m以上の山地になっている箇所は、全くないとまでは言い切れないが、ほぼないものと推察される。【下図】
地質学的には、「第四紀1)の海成層(海底に堆積してできた地層)で稜線部が構成される山脈としてはトップクラスの高さ」という表現もできる。ちなみに、当時の状態が海か山かに関わらず、第四紀の隆起量のみでいえば、北アルプスが日本一の規模といわれている。

● その他の高い山々

– 小谷村東部 –
100万年前ではなく200万年前は海底であって、関田山脈より高いところには、長野県小谷村の東の山脈あたりがあるとの報告もある。

– 火打山(非火山) –
火打山(2,462m)は、200万年前はすでに陸地であったが、火山を除くと日本でもっとも高い山のグループといわれている。

– 妙高山・焼山(火山) –
隆起や褶曲に限定せず、噴火によって形成された山々の中には、富士山をはじめ1,000mを超えるものが数多く存在する。この地域内でも、妙高山(2,454m)は約30万年前からの噴火によって形成されたとされる。焼山(2,400m)は約3,000年前の噴火で形成された、複成火山(休止期をはさんで複数の噴火活動を繰り返して生成した火山)では日本で一番若い火山といわれている。

このように比較的新しい地形に限ってみると、国内トップクラスの高さといえる地形がこの地域に存在するということができる。

【約100万年前の日本列島】

出所)成瀬洋(1977):日本島の生いたち

参考 1)第四紀について 
地質学上の時代は、主に生物の進化の過程をもとに区分されており、「第四紀」は最も新しい時代である。
具体的には約260万年前から現在までのことを指すが、この定義は2009年に修正されたものであり、古い文献では181万年前から現在までとするものもある。

a2 新しい地形(地すべり)

– 用語解説 –
「地すべり防止区域」とは、地すべり現象がある箇所やそれに隣接する箇所で法律に基づき指定したもの。災害防止のための対策工事や避難のための立ち退きを指示することもあり、国土交通省、農林水産省、林野庁の3省庁による指定がある。
なお、類似する用語に「地すべり危険区域」があるが、これは空中写真の判読や過去の記録、現地調査から地すべり発生のおそれがあり、地すべりが生じると人家や公共施設などに被害の恐れがある箇所を示す。

– 地すべり防止区域の県別の比較 –
3省庁で同時期に公表した値の合算値として確認できたものは、1998年時点のものが最新だが、この時点で新潟県は第1位、長野県は第3位である。【下表①】
その後各省庁の公表値は更新されているが、
最新値の時点が異なるため、それらを合算しても正確な値にはならないが、参考のため合算すると、国土交通省25,680ha〔2013.3.31現在〕、林野庁32,096ha〔2018.3.31現在〕、農林水産省29,259ha〔2019.4.3現在〕、合計87,035haとなり、この時点でも新潟県が抜きに出て1位であることは変わらない。

– 地すべり防止区域の県内の分布状況 –
さらに新潟県内では、県全体の面積に占める割合が8%弱の上越市において約3割を占めており、隣接する糸魚川市、妙高市、十日町市を合わせると約2/3を占めることになる。【下表②】

【地すべり防止区域の面積ランキング】
① 都道府県別(1998.1現在)

出所)新井場公徳ほか(2008)をもとに作成

② 新潟県内市町村(2017.3.31現在)

備考)指定面積は、国土交通省、林野庁、農林水産省の各指定面積の合計値
出所)新潟県砂防課、治山課、農地建設課資料をもとに作成

a3-1 標高差のある短い水系(関川・姫川)

– 用語解説 –
「一級水系」とは、河川法に基づく国土保全上又は国民経済上特に重要な水系であり、全国で109水系指定されている(2016.7現在)。
ちなみに「一級河川」は、一級水系のうち河川法による管理を行う必要があり、国土交通大臣が指定した河川のことを指しており、より区間を限定したものである。

– 標高差 –
全国市町村の標高差について定量的に調べたわけではないが、糸魚川市内の小蓮華山(標高2,766m)よりも高い山は限られ、日本地図を確認する中でそれらの多くが内陸部に多いことから、国内有数と推察される。このうち海に面している市町村に限定すれば、その数はさらに限定されると思われる。
ちなみに、富士山を擁する富士宮市の標高差は3,741mであり、日本一高低差のある市として情報発信している(ただし、同市は海に面してはいない)。
なお、市内を流れる姫川の水源は標高約800mの地点にあることから、下表のランキングには含まれないが、流域圏の境界に白馬岳(標高2,932m)があることを考慮すると、関川と同様、一定の規模を持ちながら国内有数の短さと大きな傾斜を持つ河川ということができる。

【2,000m以上の山を水源とする一級水系の幹川流路延長ランキング(短い順)】

出所)国土交通省ホームページ(日本の川、河川統計データ)をもとに作成

a3-2 標高差のある短い水系(関川・姫川)

【一級水系の流路延長ランキング(長い順)】

出所)国国土交通省信濃川河川事務所ホームページをもとに作成

【河川勾配の比較】

出所)国土交通省高田河川国道事務所ホームページをもとに一部加筆修正

a4 その他特徴的な地形

– 信濃川の津南町付近の河岸段丘 –
日本最大級として多くのホームページで言及されており、文献等によっては日本最大とするものもある。しかし、公式に用いられたものではなく、定量的な説明が可能かどうかは不明である

– 清津峡 –
十日町市では、黒部峡谷(富山県)、大杉谷(三重県)とともに日本三大渓谷であるとして情報発信しており、多くのホームページや文献等でも同様の記載がある。ただし、その由来や浸透度は不明である。
なお、小豆島の寒霞渓などが含まれる「日本三大渓谷美」は別物である。

特徴の成り立ちと影響の補足説明

b1‐1 日本列島・フォッサマグナの形成過程

【フォッサマグナの形成過程】

出所)糸魚川フォッサマグナミュージアム資料をもとに当研究所で加筆修正
注1)本文に記述した2,000万年前、200万年前などの年代は、文献により若干の違いがある。
注2)フォッサマグナの範囲は、概ね糸魚川と静岡を結ぶラインと、柏崎・新発田と千葉を結ぶラインで挟まれたエリアであるが、かつては糸魚川-静岡構造線そのものをフォッサマグナであるとした資料も多かった模様である。

【フォッサマグナの範囲】

出所)フォッサマグナミュージアム(2006)

b1‐2 信濃川・関川の形成過程

信濃川(千曲川)は、約40万年前まで上越地方に流れ込んでいた。しかし、急激な隆起運動により形成された関田山脈、東頸城丘陵、魚沼丘陵などとともに大きく曲がり、魚沼地方へ流れ込むこととなった。その結果、日本最長の河川・信濃川が生まれ、一方で急峻な関川が生まれた。

【信濃川の形成過程(200万年前~30万年前)】

① 約200万年前     ② 約100万年前    ③ 約40~30万年前

出所)小林巌雄監修、国土交通省北陸地方整備局企画・編集(2007):
信濃川・越後平野の地形と地質 信濃川・越後平野の生い立ちを探る11頁、北陸建設弘済会

参考文献・サイト

※特に参考とした文献には●を付しました。

(全国の状況)
・国土技術研究センターホームページ(国土を知る)
・地質総合研究センターホームページ(日本列島の地質と構造)
・藤岡謙二郎編著(1993):日本地誌-第二改訂増補版-、大明堂
(信越の状況)
・田中邦雄監修(1989):信州・大地のおいたち、信濃教育会出版部
・市川正夫(2013):改訂版やさしい長野県の教科書 地理、しなのき書房
●小林巌雄・国土交通省北陸地方整備局(2007):信濃川・越後平野の地形と地質、北陸建設弘済会

更新履歴

  • 2022年6月7日 「その他の参考情報」を追加しました。
  • 2022年4月21日 ページを公開しました。