地域資源情報

14 繊 維

その他の参考情報

特徴の補足説明

a1-1 織物生産の発達(新潟県)

– アンギン –
アンギンは、カラムシなどの植物の繊維を素材にして編まれた布のことで、縄文人の衣料の主流であったことが明らかになっている。古い技法を現代に伝えるアンギン製品や製作工具、製作技法が保存伝承されているのは、全国的に見ても十日町市、津南町を中心とする魚沼地方だけである。

– 正倉院 –
正倉院には「越後国美守」との記載がある庸布があるとのこと。ただし、これが三和区美守を指すのか、妙高市美守を指すのかは再検討の余地があるとの指摘もある。

– 越後縮 –
越後縮は、カラムシの茎の繊維を原料とした麻織物であり、近世に入り、越後布に技術的な改良を加えたもの。絹織物の普及などによって、明治時代にはほとんど生産されなくなった。越後縮の紡績用具及び関連資料は、1986年に重要有形民俗文化財に指定された。

a1-2 織物業の発達(新潟県魚沼地方など)

経済産業大臣指定の伝統的工芸品は全国に232品(H30.11現在)あるが、このうち織物は38品指定されている。これによれば、信越県境付近は、沖縄県の12品目に次いで伝統的工芸品の織物が集中する地域ということができる。

【国指定伝統的工芸品(織物)の指定品目】

出所)経済産業省(日用品・伝統的工芸品)ホームページをもとに作成

– 十日町市の絹織物生産高 –
昭和59年の生産高として、3,200億円の京都西陣、1,500億円の丹波に次いで、351億円の十日町との記載がある。
現在は、昭和51年のピーク時(581億円)から10分の1以下に減少しているが、国内外を対象に積極的な生産・販売活動が行われている。

a2 蚕糸業の発達(長野県)

魚沼等の中山間地域でも、古くから養蚕業は営まれていた。上越市では、明治時代に長野県から桑苗を購入し、砂丘地帯や一部中山間地域で生産した時期もある。

参考文献・サイト

※特に参考とした文献には●を付しました
(新潟県)
・児玉彰三郎(1971):越後縮布史の研究、東京大学出版会
●池田庄治編著(1978):新潟県の地場産業、野島出版
・土田邦彦(1980):越後の伝統織物、野島出版
・土田邦彦(1990):新潟県織物史、野島出版
・赤澤計眞(1998):越後織物史の研究、高志書院
●犬丸直・吉田光邦編、伝統的工芸品産業振興協会監修(1992):日本の伝統工芸品産業全集・第1巻 染織、ダイヤモンド社
・十日町商工会議所(2011):十日町雪ものがたり120-雪とともに生きる-
●企画集団ぷりずむ(1997):特集 雪の系譜 新潟県 ――十日町のきもの、ゆきのまち通信49号
・八海醸造株式会社(2010):魚沼へvol.28
・一般社団法人雪国観光圏(2016):SNOW COUNTRY FREAK Vol.18 雪国と織物、滝澤印刷
・十日町市(2017):ふるさと教材 ふるさと十日町
(長野県)
●企画集団ぷりずむ(1993):特集 雪の系譜 紡・織・裂 ――信州・長野、ゆきのまち通信30号
●阿部勇(2016):蚕糸王国信州ものがたり、信濃毎日新聞社
・新津新生(2008):「蚕糸王国長野県」はこうしてつくられた 信州自治研 (202) 7-16、長野県地方自治研究センター
・新津新生(2017):蚕糸王国長野県 ―日本の近代化を支えた養蚕・蚕種・製糸-、川辺書林

更新履歴

  • 2022年6月7日 「その他の参考情報」を追加しました。
  • 2022年4月21日 ページを公開しました。